ビジネスで悪用厳禁の「人をダマすグラフ」について知っておこう

ビジネスで悪用厳禁の「人をダマすグラフ」について知っておこう

ダマし合いが蔓延する社会

統計を悪用して人を踊らせる曲者が世の中に居ます。

彼らはグラフを巧妙に用い、「ちゃんと証拠ありますよ?」というフリをするのでたちが悪いです。

SNS中心の情報社会において非常にやっかいな敵といえます。

AI技術などで高度化するフェイクから身を守るためにも、最低限のメディアリテラシーは身に着けておきたいものです。

代表的な「人をダマすグラフ」を紹介しますので、ぜひ参考になれば幸いです。

人をダマすグラフの例

今回はSNS等でも頻繁に見かける「人をダマすグラフ」を3点挙げます。

明らかに印象操作の意図を感じる単純なものばかりですが、踊らされてしまう被害者は後を絶えません。

例①:中立意見のまとめ方

1つ目は以下のグラフです。

「賛成」25%に対し、反対意見が非常に多く出ているような印象を受けます。

注目したいのがオレンジ色のエリア。

「反対」ではなく「賛成以外」と記載されています。

すなわち、上記のグラフは以下のデータと同義です。

「どちらでもない」50%を「賛成以外」に含めてしまうことで、さも大多数が反対しているかのような印象を作ることができます。

当然ながら「反対以外」という75%の項目を作れば、大多数が賛成している印象を作れます。

このように悪意を持って項目を操作すれば簡単にグラフの印象は変わります。

大切なのはグラフの項目の内訳までチェックすることです。

例②:原点をズラして印象操作

続いて以下のような棒グラフを考えます。

出生率がとんでもないスピードで減っているような印象を受けます。

「このままでは国が滅ぶ!」とマスメディアが叫ぶ光景が頭に浮かびます。

実際のデータを見てみると、減っていることは間違いありませんが、傾きが異なります。

縦軸の原点がゼロではないことに気付くかどうかがポイントです。

各メディアは視聴率稼ぎのために視聴者を煽ります。

正しいグラフを見た後だと、前述したグラフが明らかに絶滅寸前の印象を与えていたことがわかります。

第一印象で強いインパクトを与えるグラフには注意が必要です。

例③:3D円グラフは信用してはいけない

3つ目は以下の円グラフです。

オレンジ色の「M党」が圧倒的な支持を得ているような印象を受けます。

これは「人をダマすグラフ」の定番ともいえる「3D円グラフ」です。

Excelの標準グラフの中に含まれていますが、余程の機会がない限り3D円グラフを使ってはいけません。

実際のデータは以下の通りです。

「M党」の内訳は30%で全体2位なのに、3D円グラフの形状を利用して大きく見せかけていたことがわかります。

3D円グラフは視覚効果が大きく、実際のデータと第一印象に差が生まれます。

故意でも過失でも3D円グラフをうっかり使えば信用を失うと心に刻みましょう。

グラフに騙されないようにしよう

人をダマすグラフの例として3パターンを紹介しました。

教訓をまとめておきましょう。

  • グラフにある各項目の内訳までチェックする
  • 原点がズラされていることに気付く
  • 3D円グラフは人をダマすためのグラフ

これらは統計を使った詐欺の初歩テクニックであり、さらに高度な手口が多数あります。

厄介なことにマスメディアやSNSはもちろん、査読を受けたジャーナルや論文にまで怪しいグラフが溢れています。

後者はハゲタカジャーナルなどと揶揄され、信頼性など無いに等しいのですが、そんな情報が蔓延するのが現代社会です。

誰でも情報発信が可能な時代、各個人に対するメディアリテラシーの必要性は高まるばかりです。

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