Excelファイル上での計算ミス
Excelは多くのオフィスで使われる便利なソフトですが、落とし穴もあります。
基本的な数式の計算であっても、参照元のセルがひとつズレていただけで結果が変わります。
僅かな計算ミスが大きな問題に繋がる可能性もあります。
そこで今回は計算ミスを探すために重要な「トレース」という機能を紹介します。
参考データ
今回用意したデータはこちらです。
部屋のリノベーションなどに用いる、塗料の必要量を計算するシートです。
各エリアの「幅、高さ、枚数」から面積を計算し、それぞれを合計して壁面積を導出、必要塗料を求めるというシートです。
一見、正しく表示されているように見えますが、実は必要塗料が少ないという計算ミスが発生しています。
入力してある数値に問題はなく、どこかの計算式にミスがあるという少々厄介なパターンです。
Excel上の計算ミスを探す方法
参照元のトレース
まずは「参照元のトレース」機能で、「壁面積」の項目が正しく入力されているかどうかを確認してみましょう。
「参照元のトレース」は、選択したセルが参照しているセルを矢印で表示するコマンドです。
「壁面積」の計算結果のタブを選択した状態で、「数式」タブから「参照元のトレース」を選択します。
「壁面積」の参照元には各壁の面積を総和した値が入力されていることが確認できました。
すなわち、この計算は正しく行われているということです。
よって「壁面積」の計算以外のどこかに計算ミスがあります。
それでは、別の方法でさらに詳しく見ていきましょう。
トレースの矢印の表示は「数式」タブの「トレース矢印の削除」で表示を消すことができます。
参照先のトレース
続いて「参照先のトレース」機能を使ってみます。
「参照先のトレース」は、選択したセルが参照されているセルを矢印で表示するコマンドです。
ここでミスが起きているかも?という場所にアタリをつけてミスを探すのに非常に有効です。
今回は、「枚数」の数値を選択した状態で「数式」タブの「参照先のトレース」を選択してみます。
「アクティブセルを参照している数式はありません。」と表示されました。
つまり、「枚数」のセルが使われていないということです。
各壁の面積は枚数を用いないと導出できないので、これは明らかに計算ミスといえます。
各壁の面積の計算結果を「参照元のトレース」で見てみると、「枚数」が参照されていないという計算式のミスが明確になりました。
計算式の修正
今回は「枚数」の計算が省略されていたのが計算ミスの原因だと判明しました。
「トレース」機能で計算ミスの場所さえ把握してしまえば、あとは修正するだけです。
各面積の計算が「幅×高さ」だけになっていたところを、「幅×高さ×枚数」に修正します。
これで計算シートの修正が完了しました。
必要塗料が正しく表示され、塗装時に塗料が足りなくなるという失敗を未然に防ぐことができました。
このように、数式のトレース機能を用いることで、Excelシートのどこかに発生している計算ミスを調査することができます。
まとめ
トレース機能を用いて計算ミスを修正する方法を紹介しました。
- 参照元のトレースは選択しているセルが参照しているセルを矢印で表示する
- 参照先のトレースは選択しているセルが参照されているセルを矢印で表示する
- ミスがありそうな場所にアタリをつけて参照先のトレースを使うことでミスが発見できる可能性がある